E11 · A
大トロフィー騒動
赤い二階建てバスから飛び降りたあなたへ
暴雨郵便局へようこそ。この手紙は1966年のロンドンから届きました。街角にはミニスカートと水玉と小型スクーター、ショーウィンドウの文字は週ごとに詰まっていきます。封筒はタンジェリン、クリーム、ティールの幾何学ブロックで、シルクスクリーンの少し粗い手ざわり。白黒の同心円が目をくらませ、その輪の抜けたところにトロフィーの形が隠れています。隅には小さな犬の切手、ミシン目の入った展示場の入場券がひとつ。
この街について、かつてある人がいかにもロンドンらしいことを言いました。「ロンドンに飽きた人間は、人生に飽きた人間だ。人生が与えてくれるすべてが、ロンドンにはあるのだから。」——サミュエル・ジョンソン(J・ボズウェル『サミュエル・ジョンソン伝』1791年より)
その春、金のカップが展示場から消え、一週間後に、散歩中の犬が見つけ出しました。誰が犯人かはここでは言いません。ただ、こういう街では、盗難さえ少しおかしみを帯びるのです。どうぞ座って、ちょっと気の利いた手紙を書いてください。
あなたの手紙が迷子になりませんように
暴雨郵便局
1966年・ロンドン