E16 · B
夜明けの酒屋
嵐のなか、門の外で待たされているあなたへ
暴雨郵便局へようこそ。夜明けが近づいています。ここは年代の知れない小さな町で、酒屋の戸板が一枚、外されたところです。封筒は深い茶緑の繊維紙で、金と象牙色の細い斜体の英字の題字。黄土色の木版には酒壺と軒先、朱色の屋号の印、細い受取帯が刷られています。
『詩経』に、まさにこんな空を詠んだ詩があります。「風雨は夕暮れのように暗く、鶏の声はやまない。ようやく君子に会えたのに、どうして喜ばずにいられよう。」——『詩経』鄭風「風雨」(先秦)
風と雨は日暮れのように暗いのに、鶏は次々と鳴き出して、夜が明けようとしています。そんな時刻に、会いたい人に会えたなら、嬉しくないはずがありません。外の雨はまだやまなくても、かまいません。さあ、お入りください。酒は温かく、紙は乾いています。
鶏が鳴いたら、灯りの下で
暴雨郵便局
年代未詳・夜明け前
追伸 お酒は帳面につけておきます。便箋はご自由にどうぞ。