E23 · A
イーストエンドの夜明け
いちばん早起きの隣人へ
夜が明けたばかり。ロンドン東部、イーストエンドの煉瓦の家々には、まだ夜の冷たさが残っています。この手紙は1935年から36年のあいだに届いたもの。封筒は安価なクリーム色の紙で、英国のスポーツポスターを思わせる力強い木版活字の題字がのり、深い緑の線刻で煉瓦造りの通りが連なって、その先にはトラックが一周。橙赤色が灯るのは、トーチの小さな炎だけです。隅には町内の掲示の細い紙が貼られ、縁には切符の半券のようなミシン目が入っています。
石炭の煙はまだ晴れませんが、朝の光はもう屋根に降りています。ある詩人は、ロンドンの朝をこう詠みました。「この街はいま、衣をまとうように、朝の美しさをまとっている。」——ウィリアム・ワーズワース『ウェストミンスター橋の上で』(1807年)
彼の空気には煙がありませんでしたが、ここの朝はそうではありません。それでも早起きの走者がいて、店のシャッターが上がり、窓ごしに声を掛け合う隣人がいます。ようこそ。ここから一緒に出発しましょう。手紙はゆっくりお書きください。道もゆっくり走りましょう。
おはよう、隣人さん
暴雨郵便局
1935〜36年・ロンドン東部