暴雨郵便局

E35 · B

濡れた絵の具の手紙

指先にまだ絵の具をつけたあなたへ

絵の具はまだ乾いていません。指を押しあてれば、指紋が残ります。

1920年の秋のメキシコシティから届いたこの封筒は、あたたかな黄土色の繊維紙で、題字は荒々しい黒の筆文字。ターコイズ色と錆色の立体派風の断片が、湖のほとりの女性を組み上げています。コバルト色の絵の具見本のような紙のタブ、細く彫られた蛇の線、小さな工房の印。指でなぞれば、本物の顔料の粒がわかります。

ある詩に出てくる画僧は、目の前の世界をこう讃えました。「美と驚異と力、ものの形、その色、光と影、移ろい、驚き——それをみな神がつくりたもうたのだ!」——ロバート・ブラウニング『フラ・リッポ・リッピ』(1855年)

手紙も同じです。まず色があり、次に形があり、最後に名前がくる。ようこそ。絵の具が乾く前に、言いたいことを塗りつけてください。

色がまだ濡れているうちに

暴雨郵便局

1920年秋・メキシコシティ

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