M03 · A
開けておいた扉
ある扉を思い出したあなたへ
暴雨郵便局へようこそ。この手紙は、一つの記憶から出されました。1985年から1987年のあいだ、第一防線学校の廊下です。封筒は灰青色の事務用紙で、罫線も記入欄もきちんと整っているのに、温かな手書きの筆記体の英文が一行、その整いを少しだけほどいています。長い廊下が彫られ、突き当たりには一枚の扉が開いて、金色の光があふれています。紙の帯の下には、子どもが折りたたんだメモがそっと差し込んであります。
子どもたちの好きなある本に、こんな一文があります。「アリスが扉を開けると、その先は小さな通路で、ネズミの穴より少し大きいくらい。ひざをついて通路の先をのぞくと、これまで見たこともないほど美しい庭が見えた。」——ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(1865年)
制度はいつも整っていますが、誰かが必ず扉を少しだけ開けておきます。あなたの心にも一枚、残しておけますように。メモは開いていません。読みたければ、あなたの手で開いてください。
扉に鍵はかかっていません
暴雨郵便局
1985〜1987年・子どもの頃の記憶
追伸 隅の鉛筆の小さな星は、誰かがこっそり描き足したものです。